代表挨拶
全国B型肝炎訴訟北海道弁護団代表 佐藤哲之から皆様へ伝えたいこと
平成18年6月16日、最高裁は国の集団予防接種における注射針・筒の使い回しが原因でB型肝炎ウイルス感染被害が生じていることを認め、国に5人の被害者に対して損害を賠償するよう命じました。この判決で国の責任が明らかになったのです。しかし国はその後も何の対応もとらず、肝硬変、肝がんなど重篤な患者を含む多くの感染被害者を放置し続けました。
そこで、私たちは平成20年3月に再び国の責任を問う訴訟を提起しました。訴訟は全国に拡がり、原告団・弁護団一丸となって取り組んだ法廷内外のさまざまな活動の結果、平成23年6月28日、国は私たち原告団・弁護団との間で賠償金の支払いなどについて基本合意を締結し首相が直接謝罪したのです。そしてこの基本合意をもとに、同年12月には「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が成立しました。内容的には必ずしも十分ではありませんが、これにより国も40万人を超える被害者が存在すると認めた集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染被害について救済の道が開かれました。
被害者の方がこの制度のもとで救済を受けるには訴訟を提起する必要があります。私たちの弁護団はこれまで全国で1万6000人以上、北海道でも2000人以上の方から依頼を受け訴訟を提起しています。しかし、私たちは救済されるべき被害者なのに訴訟に参加されていない方がもっともっといると考えています。そうした被害者の方に1人でも多く救済を受けてもらいたい。私たち弁護団はこのような気持ちで取り組んでいます。「自分も被害者ではないか」と思われる方はお気軽に私たち弁護団にお問い合わせ下さい。私たち弁護団は最高裁判決を獲得し国と基本合意を締結してきたこれまでの経験を活かし、被害者の方が救済されるよう最大限の努力を致します。
また、この制度のもとでは立証上の制約もあり救済を受けられない方も残念ながらいらっしゃいます。しかしウイルス性肝炎が「第2の国民病」といわれるまでに拡大したのは、集団予防接種における注射針・筒の使い回しだけでなく、輸血の問題も含め「医原病」でもあるからです。したがって、私たち弁護団は広く全てのウイルス性肝炎患者に対する医療費助成、生活支援などの恒久対策を実施することが国の責務だと考え、原告団とともに日本肝臓病患者団体協議会(日肝協)などと一緒にその実現に取り組んでいます。さらには、同じ被害を繰り返さないためB型肝炎ウイルス感染被害の発生・拡大の真相を究明し、再発防止の体制をつくることにも取り組んでいます。
今後も、みなさまからのご支援、ご協力のほどよろしくお願い致します。
全国B型肝炎訴訟北海道弁護団代表
弁護士 佐藤 哲之 (札幌弁護士会所属)