B型肝炎訴訟では国と基本合意を行い、その後の検証会議を経て提言がなされています。私たちはこれで問題が解決したなどと全く思っていません。ようやくスタートラインに立ったと思っています。基本合意で給付金を受けられる人は一定の基準を満たす人だけであり、多くの人が給付金さえ受け取れずにいます。そして給付金を受け取ったといっても、これまでの治療費や働けなくなったことによって失った生活費などに及ばないことがほとんどです。
私たち弁護団が原告団とともに考えている今後の課題としては、恒久対策と真相究明、教育啓発活動の3つがあります。


1.恒久対策

私たちは恒久対策として、さらなる医療支援の充実を求めて活動を行っています。現在も一定の医療助成制度はありますが、まだまだ医療での支援が必要であり、さらなる広がりを目指して活動しています。これは今回の枠組みで給付金を受けられることが出来ない方のためにもなるものであり、一人でも多くの肝炎患者のためにと思って活動をしております。

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2.真相究明

検証会議で一定の調査はなされましたが、まだその真相は明らかになっていません。個別の和解や医療体制の充実などの対策はもちろん大事ですが、このような悲しい被害を二度と起こさないための活動も非常に大事だと私たちは考えています。そのために私たちの課題としてなぜこのような被害が起こったか、どうすれば二度とこのような被害がなくなるかについて検証を行っています。この真相究明こそが、これだけの被害を巻き起こした行政被害を二度と起こさないことにつながると思っております。

真相究明へ

3.教育啓発活動

B型肝炎に対しては多くの偏見、誤解がありました。親戚にも言えずにいたり、公表したことで職場において誤解を受けたりした方が原告の方にも多数いらっしゃいます。この病気に対する正確な理解をしてもらうこと、この被害を知ってもらうことが必要と思い、医療関係者をはじめ大学や専門学校などで講演を行うなど広く啓発活動を行っております。

教育啓発へ


基本合意を行ったことで給付金を受けられる枠組みが出来、検証会議を経て一定の事実は明らかになりました。しかし、まだまだ苦しんでいる肝炎患者が多くいらっしゃる中、この問題が解決したとは到底言えない状況です。私たちB型肝炎訴訟北海道弁護団では、原告団とともに今後もこれらの課題に取り組んでいくつもりです。